スモールワールド

このように自己組織化していく群れがどのような形を形成するのかというと、スモールワールドと呼ばれる構造になります。

こんな研究があります。
何人の知人を通せば、世界中の人にアクセスできるか?という問いにおいて、マル人という結論が出ました。
これは、世界がスモールワールドの構造をしているからだということです。
ネットワークの研究において、どのような繋がりであれば最も伝達効率が良いか?という命題の答えが、このスモールワールドでした。
 
完全に秩序を保ったサイの目状の構造だと、端から端まで情報を伝達する場合、全ての点を経由する必要があるため、非常に効率が良くありません。
しかし逆に、全てが無秩序な繋がりになってしまうと、隣の点に伝達するためにも遠回りをしなくてはならず、これもやはり効率が良くありません。
 
その結果、ある程度秩序を作り、一部にはランダムな繋がりを持ったネットワークが最も効率が良い、と分かりました。
 
これが、スモールワールドです。
このスモールワールド構造は、成熟した自然の群れの中に見ることができます。
例えば、アリやハチの構成。ほとんどは秩序立った活動をしながら、一部だけには無秩序なバッファとなる行動をする者たちがいます。
 
サルの群れの中にも、群れの一部にはそこを離れて旅をするはぐれ、と呼ばれる者がいます。

元素の結びつきや遊離イオンなどを見ても、群れの核を維持しながら、一部では新たな広がりを探す、このスモールワールドの構造は自己組織化においてある種の完成された形なのでしょう。