2章【べき乗則】

バブルが起こるのは必然である

バブルというと、社会にとってはあまり良いイメージは無いように思いますが、実は自然の中では、バブルが起こるのは当たり前のことでもあります。このバブルが発生する仕組みが、べき乗則のシステムです。 

例えば、病気や害虫が大発生する時などは、必ずべき乗で増えて行きますし、サービスやiPhoneなども、広まる時にはバブルのように広まります。

何より、人類の人口すらもバブルのようにべき乗で増えてきていますよね?

世界は単純な線形で発展して行くのではなく、それが自然であるならば、必ず指数関数的なべき乗で拡大していきます。これが自然において発生する、非線形のダイナミズムです。

逆に言えば、ある係数に比例して大きくなっていくような直線的な動きは、非常に人工的なものだと言えるでしょう。

 

栄養周期理論

生物には、成長のバイオリズムがあります。

植物で言うと、種から芽吹き、双葉の幼少期を過ごして自己を生長させ、そこから花を咲かせて実を成らせ、最後に自らは枯れていく……といった流れです。

植物の場合、これは栄養周期理論としてまとめられていますが、この周期は他の生物にも共通する構造となっています。

人間も、非力な幼少期を過ごし、急激に成長する第二次性徴を通過した後、子供を残して死んでいく、というのが人生でした。

面白いのは、どちらも幼少期から大人になる段階において、急激なべき乗則の成長を遂げることです。

生物が大人になる際には、非常に大きなエネルギーを摂取し、それに伴った成長を行います。この時に充分な栄養を得られない場合、その生物は充分な大きさになることができません。

こうした周期は、生き物だけでなく様々な群れについても同じパターンを見ることができます。

べき乗則で急激な成長をした生物は、その成長を止めます。

バブルを起こさないようにするにはこのように、全ての群れはバブルを起こす可能性を秘めており、さらに一度起こってしまったバブルは止めることができません。

 

これは複雑系やカオス理論で言われる所の対称性の崩れになり、誰もがみんななんとかしようとしてきましたが、自然現象であるため、誰にもなんともできないのが常です。

 

昨今のフェイクニュースが広まるのを止められないように、ネットワーク効果が働くと、それを止めることは非常に困難になってしまいます。

 

従って、バブルを起こさないようにするための唯一の対策としては、べき乗則に沿って最も効率の良いタイミング、つまり『早い時点で出た杭を叩くこと』が最も効果的です。

 日本はそれが非常に得意ですよね。 

wired.jp