カオスの縁
べき乗則によってバブルのように拡大した群れは、一体いつ弾けて消えてしまうのでしょうか?
実は、それは誰にも分かりません。
先ほども書いた通り、今を積み重ねていく自然現象において、それがどこまで拡大するかは分かりません。
つまりバブルとは、バブルになる前に消えてしまった無数の可能性の中に成り立っており、ある時たまたまどこまでも広がったことによってバブルとなっただけなのです。
一章で解説したスモールワールド構造ができたら、後はいつ何が起きるかは神のみぞ知る領域なのです。
これを臨界状態、またはカオスの縁、と言います。
群れは自己組織化されて、その群れのキャパシティ最大までべき乗則で拡大します。しかしそこからは、弾けるかどうか確定しないまま、小さな拡大や縮小を繰り返して、均衡を保つようになります。
株式市場などが分かりやすい例です。
株価などの経済は、複雑系においては自然の仕組みとほぼ同じなので、非常に分かりやすい例になりますね。
このように、経済とは自然であり、その仕組みの一つに過ぎません。
さらに、自然とはビッグデータによる取捨選択結果でもあるため、自然が表現する仕組みは非常に他の様々な分野においても参考になる構造だと言えます。